中板橋のアジャスト接骨院(右肩関節脱臼の患者さん)

2022/06/05 ブログ

 ゴールデンウイーク初め、30代の男性の方が母親と一緒に来院されました。何でも右肩を脱臼したと事前に予約が入りました。

 大抵多いのが、脱臼した!と言っても「実際診たら捻挫だった」、と言う事が多いので本当に脱臼なのか?確かめる必要があります。

 先ずは触診。確かに骨頭の位置が正常ではありません。三角筋の膨らみも無くなっています。右腕を左手で支えており、ものすごく痛そうな様子です。

 「ホンマの脱臼や!マジか・・」一瞬、尻込みしました。何故なら私は一度も(肩の脱臼の整復に成功したことが無かった)からです。

 今まで症例は二回経験した事があります。が何れも筋肉の緊張が強く、整復できませんでした。そして直ぐに「お金要らないので、整形外科に行って下さい」と伝えてました。いわば“逃げ”です。

 が、今回は4/29昭和の日、休日です。整形外科はお休み、天気は雨。整形外科を薦めようにも営業しておりません。恐らく肩が入るまで、この親子はここにい続けます。「逃げられない・・」、正直そう思いました。

 激痛、血圧低下のせいか患者さんが嘔吐し始めました。「この方も、マジで苦しんでる」、「とにかくやってみよう」と覚悟を決めました。

 昔、教わった教科書の内容を確認・you tubeで動画確認など事前に準備する時間はありました。が、いざ整復を始めると、座位・仰向け が痛くてできません。バストマットを胸下に敷き、うつ伏せなら、何とかOKでした。初めは肩の牽引・外旋を強引に行いましたが、激しく痛がり、物凄く抵抗します。全く動きません。少し休憩をいれ、水を飲んでもらいました。「どうしよう・・・・」困惑状態です。

 「僕が痛いことをするから、抵抗される。」、「この先生は痛いことはしない、と信頼してもらおう」以後、痛いことは決してせず、痛みを感じない範囲で整復を続けました。先ずは力を抜いてもらう、そしてゆっくり牽引を心掛けました。

 整復・休憩を繰り返しながら、二時間経過(長っ!)。次のマッサージの患者さんの予約が迫ってきました。その時でした。「何かいい感じになった。」と言われその場で自分から スッと起き上がりました。殆ど動けなかった方なので、ビックリしました。早速、肩を触らせてもらいました。まだ骨頭位置の異常がみられます。

 そうこうしていると、次の予約の患者さんが来院されました。「隣りのベッドで待っていて下さい。」と告げ、次の施術に取り掛かりました。

15分後、戻ってみると、「自分で動かしていたら入っちゃいました」と言われました(意外にあっけない)。確認すると骨頭位置が正常に戻ってます。ものすごく安堵しました。ホッとしました。

 お二人がお帰りになる際、「有難うございました」と深々と頭を下げられた時は、「僕の施術が仕事として認められたんだなぁ」と思いました。(嬉しかった)

 今回の経験で教えてもらった事は、教科書・YOU TUBEの様には、実際の施術はいかない事がある、という事です。患者さん・症状は生きてます。生きてるものは言う事を全部はきいてくれません。私の思い通りにはなりません。であれば、いかに自分が対象に合わせていけるか、受け容れる事ができるのかが、力量・人間力なのではないか・・・と感じました。

 自分で100%整復を成功させた訳ではありませんでしたが、それで良いのです。療術家として何か大きな体験をさせて頂きました。 

(板橋区、中板橋、アジャスト接骨院 肩関節脱臼)